冷たい舌

 


 
 暗い顔で、青龍神社に戻った透子を、公人が待ち構えていた。

 欄干の側で熊手を持つ祖父は、不興気な顔をしてた。

「なに、おじいちゃん」
 気のない声で、透子は訊いた。

 透子よ……と溜息まじりに呟く。

「あれを怒らすなと言ったろう」

「仕方ないじゃない。あいつ、気が短いんだもの」

 そう言って、さっさと回廊に昇ろうとする。

 その足を公人が熊手で止めた。

 いつになく真剣な眼の公人がそこに居た。

「いつもの怒り方じゃなかったぞ。

 ―透子。
 お前、自分が何をしているのかわかっているのか?」

 わかってるわよ、と透子は投げやりに嗤う。

「わかってたわよ。
 今も昔も」

 ふと表情を変え、透子は言った。

「でも……これでよかったのかも」

「透子?」

 空を見上げる透子の姿に、公人は不安げにその名を呼んだ