冷たい舌

「知らないわよ。
 あんたに借りたCD返しに来たのよ。

 言わなかったかしら。
 そこのソファのコーナーの上にあるわよ。

 ええっと、おとついの夕方だったかなあ」

「俺のバイトの時間じゃねえか」

 油断も隙もねえ、と龍也は舌打ちしたが、何の隙なのか透子にはわからなかった。

「透子、あんたたちもお昼にする?

 おむすびにしたから、このカラアゲとかと一緒に持ってって、あっちで食べて」

 うん、と頷きながら、透子はふと思いついて言った。

「そうだ、暇なら、春日さん呼ぼうかな」

 ぶっ、と龍也は噴き出し、潤子は目を輝かせた。

「なんでだ!?」

 椅子を蹴倒しかねない勢いで立ち上がって龍也が叫ぶ。

「いや。春日さん、祭りの道具とか興味あるみたいだから」

 龍也の剣幕に押されながら、透子は言った。

 そうよ、それ、グッドアイディアっ、と潤子は、はしゃぐ。

 そんな母親にも呆れたように龍也は額に手をやり、言った。

「おい。透子は和尚と結婚するんじゃなかったのか」