冷たい舌

 居間を覗くと、続きになっているダイニングで、龍也がお昼を食べていた。

「あら、もう戻ってきてたの? 珍しい」

 返事をしない龍也の首に、後ろから腕を回して体重をかける。

「お姉様が話しかけてるのに、返事しなさいよっ」

「ぐえっ」

 放せよっ、と透子の手を払ってから、咳き込む。

 奥の台所から、潤子が言った。

「明日から試験なのよ。
 勉強しに戻ってきたんでしょ」

「ああ。
 あんた、成績だけはいいもんね。

 しかも出てもないのに、講義は全部出席になってるそうじゃない」

 龍也は箸を持つ手を止めて、振り返る。

「おい。
 なんでお前がそんなこと知ってんだ?」

「あんたの友達の夕弥(ゆうや)くんが来たとき言ってたわよ」

 そう言いながら、冷蔵庫から麦茶を取り出し、カウンターの上に並べたグラスに注いだ。

 横で潤子が油で何かを揚げている音がする。

 換気扇は勢いよく廻っているが、かなりの熱気がしていた。

「なんで俺の知らない間に、俺の友達が来てんだよ!?」