冷たい舌

 あのね、と透子は額に手をやって、呟くように言った。

「春日さんは、別に私を好きってわけじゃ……」

 なに言ってるの、透子! と、おたまを持ったまま、力説する。

「こんな頻繁に電話してくるなんて、脈がある証拠よっ」

「……ねえ、おかあさん。
 もしかして、和尚じゃ、不満なの?」

 潤子は、そんなことないけど? とちょっと拗ねたように言う。

「なぁんかあんたたちの話、嘘臭いんだもん。

 いっつも猫の子みたいに、じゃれてるだけのくせして、急に結婚とか言いだすの、変じゃない。

 せっかく期待して、やっぱやめたとか言われるの、お母さん嫌だもの。

 その点、春日さんなら大丈夫そうじゃない」

 いや、あの人もいろんな意味で大丈夫じゃあないんだけどね、と心の中で呟いていた。