冷たい舌

「今更、なしってのは、なしじゃぞ。

 義隆の前でも公言したろうが、第一、向こうの坊主にも、うちの氏子さんたちにも、もう話は広まっとるっ」

「ちょっと!
 龍造寺はともかく、なんで氏子さんたちが知ってんのよっ!

 おじいちゃんが広めたんでしょ!?

 でなきゃ、誰も知るわけないじゃないっ」

 あら、お祖父ちゃん、とおたまを持ったまま、潤子は不服を訴える。

「透子が結婚するってのはいいとして、まだ相手はわかんないじゃないの」

「ちょっと、お母さん?」

 またわかんないことをと思ったとき、潤子はにっこり笑って言った。

「透子。
 さっき、春日さんから電話があったわよ」

「電話?
 なんて?」

「さあ。八時ごろ帰るからまた電話しますっておっしゃってたわ。

 あんた、携帯の番号教えてないの?」

 おかあさま……いつも、男には簡単に教えるな、とか申してませんでしたっけ?

 呆れたように母親を見上げると、公人は何故か感心したように頷いた。

「なんじゃ。
 まだ、めげてないのか、あの男。

 今どきの若いもんにしては、根性あるのう」