冷たい舌

 透子は腰に手をやったまま、可愛らしく小首を傾げる。

「でも、それって困んない?」

「困ってるよ。
 ―忠尚が居なくなった」

「へ?」

「どうせ、天満さんとこだろうけどな。
 いつものことだから。

 ま。それはいいんだが、ちょっと今、忙しくてな」

「そうだね。そろそろ祭りの準備もあるのにさ。なにやってるのかしらね」

 なにやってるのかしらね、じゃねえだろが、とちょっとだけ忠尚に同情しそうになったが、いちいち説明してやるほど、お人好しでもない。

「見つけたら、とっちめてやらなきゃ」

 多少、哀れに思いながらも、はいはい、と適当な返事をして、あいかわらず祠に向かって柏手を打つ透子を見下ろした。