冷たい舌

 

 
 三十分もしないうちに、透子の家のリビングは大騒ぎになっていた。

「知ってたんなら止めてよ。公人さん」
 叫ぶ義隆に、公人はすげなく言い返す。

「なんじゃい別に。子どもじゃあるまいし。わしが口出しすることじゃあるまい」

「なんだってそう、ときどきオープンなの? 普段は口煩いくせに」

 そう言って、一気に潤子の出してくれた冷たい抹茶をあおった。

「だいたい、それならさ。見合いする前に言ってくれればよかったじゃない」

 そう公人に詰め寄る義隆の手に握られていたグラスには、いつの間にか、ビールが注がれている。

 義隆はそれには気づかず、やけのようにあおった。

「本人たちが言いたくないというものを仕方あるまい」

「ちょっとお祖父ちゃん!?」

 勝手な創作するなと止めに行こうとした透子の足を和尚が引っかけた。

 よろけた透子は和尚の座っているソファの背を掴む。

 なにようっ、と見上げると、正面を向いたまま和尚は言った。

「お前、俺と付き合ってることにしとけ」

「なんでよ?」