冷たい舌

 




 かい……紅い、紅い淵……。

 淵の中に透子は立っていた。

 紅の袴は淵に漂う血を含んで、違う朱色に染まっている。

 生臭い匂い。

 月の明かりにぼんやり浮かぶ自分の白い指。

 だが、その掌には真っ赤な血が溜っていた。

 いやああああああああああっ。

 悲鳴をあげ、透子は淵に蹲る。

 反動で血の波が飛び散った。