冷たい舌

 


 
「しっかし、天満さんも不思議な人だよな。
 経歴もどんな生活してんのかも、今いち謎だし。

 な、透子。
 ―おい、透子。寝てんのか?」

 頬杖をついて、窓の外に流れる景色を見ていた透子は、はっ、と前を見た。

「ああ、ごめん。起きてるよ」

 和尚が助手席からフォローを入れるように言う。

「帰ったらすぐ寝ろよ。お前、明日から潔斎だろうが。あんまり遅くまで、ほろほろしてると叱られるぞ」

 うん、と透子は頷く。

 国道沿いの下の鳥居から歩いて上がるという透子に反対して忠尚は、ぐるっと回って車の上がれる上の参道まで入ってくれた。

 車を降り、赤いテールランプが降りていくのを見送っていると、

「お帰り、不良巫女様」
という声がする。

 振り返ると、母屋の窓から龍也が覗いていた。

「あんた、そんっなにアイス食べたかったの?」
 そんなんじゃねえっ、と龍也は怒鳴る。