冷たい舌

「爺が、男は成人したら舞っちゃいけないの忘れてたんだよ。
 昔は十五で元服だったからな」

 和尚は人に聞かれるたびに、繰り返した嘘を口にする。

「ふーん。そんなの関係あんのか?」

 忠尚の呟きに、透子は和尚の方を見ないように、写真に視線を落とした。

 その中に居る自分は豪奢な装束に身を包み、奇麗にお化粧してもらっていた。

 公人も天満も、薫子もいる。

 それはまだ、誰もが幸せだった頃―