冷たい舌

「久しぶりだね、和尚。お前、あんまり遊びに来てくれないから、つまらなかったよ」

「俺は別に会いたくなんかなかった」
 素っ気ない和尚に、天満は口の端を歪めて笑う。

「つれないんだね。あのときの後始末、誰がつけてやったと思ってるの?」

「だから、会いたくなかったんだよ!」

 机を叩いた和尚を慌てて止める。

 そんな透子を、和尚は或る確信を持って見上げた。

 まずい、と思ったが、天満はただ面白がるように、それを見ている。

 どうしようかと惑ったとき、忠尚が降りてくる音がした。

「ほら、透子」

 忠尚が見せてくれたそれは、額に入っている写真だった。

 普通の写真よりは大きい横長の判で、青龍神社の拝殿をバックに、みんなが写っていた。

 和尚と自分は神楽の後らしく衣装のままで、忠尚と天満と薫子と、あと厭そうに、公人も混ざっている。

「懐かしいよな、十年くらい前かな」

 ちょっと青みがかって色あせたそれを見ながら忠尚が言うと、上から覗き込んだ和尚が訂正する。

「いや、十一年前だ。十五の年には俺はもう、神楽はやめていた」

「ああ、あれ、いきなりやめたんだよな。
 前日くらいまで練習してたのに」