冷たい舌

 しょうもない二人の会話を聞きながら、透子は分厚いマグカップを手に持って冷ましていた。

 天満の視線に気づいて顔を向ける。

「透子ちゃん、相変わらず、猫舌なんだ」

 潤子さんが甘やかすからだね、と胡散臭い外見に反して穏やかに笑う。

「お祖母ちゃんが厳しかったから、その反動かも」

 そう言ってから、しまったと思った。

 そして直ぐに、その、しまったが顔に出たことに気づいて、また、しまったと思った。

「透子、もうそんなに熱くないから、飲め」
 助け船を出すように和尚が言う。

 それに気づいた天満が厭味に笑う。

「和尚も相変わらず、透子ちゃんには甘いね」

「こいつがとろくさいから、つい手を出すだけだ」
と和尚が言ったとき、あ、そうだ、と忠尚が立ち上がった。

「天満さん、あれ見せてやってよ。ほら、二階の写真」

 ああ、いいよ。取っておいでと言うと、忠尚は台所の奥に姿を消した。

 階段を登っていく音を確認してから、天満は和尚に向き直る。