冷たい舌

「あいつ、俺等をこき使ってやがるからな。

 でも、どうせ俺があそこ継ぐわけじゃねえんだから、出てっても関係ねえよ」

「あれ? 忠尚、継がないの?」

「俺は、なれて副住職だろ。住職はこいつ」
と天満の入れた珈琲を飲んでいる和尚を指さした。

 和尚は、なんで俺、という顔をしている。

「お前は真面目で、坊主どもの信頼も厚い。
 一応、長男だしな」

「でも、俺は親父と折り合いが悪いからな」

「お前のは、ただの意地の張り合いだろ。
 俺みたいに、ちゃらんぽらんで叱られ通しなのとは違うよ」

「そんなことねえよ。馬鹿な子ほど可愛いっていうじゃねえか」

「……和尚。俺がお前を絞め殺さないのは、単に同じ顔に死体になられると気色悪いから、それだけなんだからな」