冷たい舌

「あのね。よくうちに御守り買いに来るんだ。

 一ヵ月に一遍くらいかな。
 でも返しには来ないんだよね。

 友達にでもあげてるのかな」

 新しいのを買ったりして用の終わった御守りは、神社に返すことになっている。

 まあ、ちゃんとやる人間は少ないが、そんなに買っているのなら、持て余すだろうに。

「それ全部、恋愛成就の御守りだろ」
「そう。なんでわかったの?」

「あれはそういうことしか頭にない女だから。
 ほんっとお前とは正反対の女だよ」

 溜息をつく忠尚を透子は睨む。

「なによそれ、私に色気がないっての?」

 そうじゃないよ、と言いながら忠尚は、透子の口の傍についたアイスを指で拭ってやる。

 和尚は、むっとしたが、口に出して文句を言うわけにもいかないので、別のことで反逆することにした。

「じゃあ、なんでそんな女と付き合ってるんだよ」

 透子の前で、じゃあとか付けるな、と睨んでくるが、どうせ、こんな鈍女にわかるわけもない。

「なんで、か……」
と忠尚が呟いた。

「だから、かな」

 その目は、工場の煙突の上でキラキラと点滅する光を見ていた。