「びっくりしたよ。最初、いきなり雅也くんが真二のこと殴ってさぁ」



あのお花見から、数日がたった


瑠奈は今、亜季と電話をしている



「..そうだったんだ」



そんなこと初めて聞いた



雅也が真二のことを殴ってたなんて..



後でお礼の電話しなきゃ、そう思いながら亜季との電話を切った




「もうすぐ四ヶ月かぁ..」

カレンダーを見ながら、一人呟く



気が付けば、智也と付き合ってからもうすぐ四ヶ月



立て続けに異性の問題があったものの、変わらずうまくいっていた




今日は智也が仕事の後、久しぶりに瑠奈の家にくることになっている




瑠奈は枕を抱き締めながら、何度も時計に目をやる



「智也、うちくんだろ?今日は辞めとけば?」


お兄ちゃんの声が、隣の部から聞こえてきた



「は?なんで?」


「親父、帰ってくるらしいよ」


それを聞いて、瑠奈は黙り込む


お兄ちゃんもそれ以上、何も言わなかった



「..よく帰ってこれるね」


誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いた



"親父"という言葉に、下唇を噛み締める



少し、血の味がした