慈侑くんがわざとらしくため息をついた。
そのせいで俯いている私の髪が少し揺れてくすぐったい。
“今朝のアレ”。
慈侑くんが言っているのはおそらく、
「鍵拾ってもらってありがとうございます。」
のことだろう。
「だっ、だって!じ、慈侑くんと一緒に住んでるなんてみんなに知られたらダメだから…」
最初は強気に出たもののだんだんと語尾が弱くなっている私。
「なんでだめなの?」
「……っ!」
絶対わざとだ。
わざと耳に囁くように言ってるんだ。
「柚、顔あげて?」
また囁くように優しく言う慈侑くん。
甘い声にぶるっと震える。
私は恥ずかしくて、首をフルフルと横に振った。

