「あたしがいると疲れちゃう?ごめんね」



多分、そうなんだよね。



あたしのこと、鈍臭いから放っておけなくてつい声をかけただけってわかってる。



駅まで時間通りにちゃんと行けるか、見届けたいだけなんだよね。



「そんなんじゃねぇけど」



カズマの顔をのぞき込むと、フイと背けられた。



これ、よくある。



顔を合わせてくれないんだよねぇ。



「見んなよ」




「どんな顔してるのかなって」



「普通の顔だろ。確かめる意味、ある?」



そんな風に言われると、困っちゃうよ。



「笑ってたら、いいなって。なんとなく」



「なんとなくってなんだよ…ったく」



あ、笑った。



そうなんだよねぇ、カズマってこうやってふとしたときに笑顔を見せるんだ。