コンコン、とドアがノックされてハッと気づく。ヤバイ、侍女さんだったら叱られるかなって慌てて離れた。


「サクラ、いるか?」

「あ、はいはい。起きてますよ~」


別に寝てた訳じゃないのに、妙なことを口走ってしまいましたよ。


「そうか、じゃあ入るぞ」


そう言って遠慮なくドアを開くのは、あの傲岸不遜の代名詞と言えるアレク。彼は手に数冊の本を抱え、こちらへ歩いてきた。


う~ん……やっぱりカッコいいんだよなあ。口さえ開かなければ。


「どうした? 俺がカッコいいからって惚れるなよ」

「誰も惚れません。寝言は寝てから言ってね」


馬鹿げたやり取りを続けるつもりはなくて、アレクの手から本を奪うように受け取る。


「とりあえず目につくのを持ってきたが、これがそんなに珍しいのか?」

「あったりまえでしょ! 日本にはもぐらたたきゲームについて書かれた本なんてあまりないんだからね」


そう、あたしはアレクに頼んでこの世界のもぐらたたきゲームの本を借りることにした。仕組みやルールをちゃんと理解すれば、もっとちゃんと戦えるかなと思って。


実際、あたしはアレクにまるっきり歯が立たない。彼は国内で一番強いけど、その彼をもってしてもステルス帝国には勝てないんだ。なにか逆転する方法がないかって勉強しようかと考えた。