「そうなると、先ずは生活課の方にお行きください。」


 市役所の中も、随分と未だ新しかった。天井は高く、床は照明の光に輝き、そこら中から新品特有の絨毯の匂いがした。


 受付の女性も若く、いや別に年齢は如何でも良いが、彼女の親身で分かりやすい対応が嬉しかった。


「あの、すみません。その生活課って、どこですか。」


 私の情報処理能力が低いが為に、何度も聞き返して迷惑をかけたが、変わらぬ笑顔が輝いていた。


「土曜窓口になるので、隣の旧館の方になります。」


 御礼を言って出て行った後も、彼女の笑顔は私の姿が見えなくなるまで続くのだろう。


「ご苦労様です。」


 何か彼女に悪い気がして、急いで姿を消そうと旧館へ急いだ。