流れ星に4回目の願いを呟く時。

「じゃあ、行ってくるね。」


 娘が出て行った頃には、夫婦の仲は戻っていたらしい。2人睦まじくソファーに座って朝ドラの再放送を観ている。


「役場に行くなんて、こんな朝早くから。どうかしたのか。」


「いや、確か書類がどうとかって言ってたわよ。今回もそれで帰って来たって言ってたから。」


「ほおー。やっぱり社会人になって大変何だろうな。」


 土曜日の朝はいくら田舎の町とは言え、車の行列が出来る。皆、買い物やら遊園地やら、お出かけの予定を土曜日に合わせているのだろう。


 こんな天気の良い春の1日だ。それが普通。役場の土曜窓口に行く方が、その列に逆らっているというものだ。


 園長に呼ばれた理由、それは実に複雑な話だった。だから、両親にはただ必要な資料があるからだと言っておいた。


 別にただ話すだけなら出来たが、神経質な母に説明するのはストーリー展開にまで文句を言われそうで自身が無かったし、ズボラな父では仮に理路整然と説明出来たとしても頭の上に疑問符が浮かびそうで結局しなかった。


 とにかく、そういう複雑な事情が、この帰省には絡んでいたのだ。


 信号が変わり、アクセルをゆっくり踏み込んだ。