流れ星に4回目の願いを呟く時。

 3月の早春の海は未だ穏やかに凪いでいて、水平線の彼方に沈む夕日の形をくっきりとその海面に写していたが、今はもう崩れてしまっていた。


 就職してこの町を出てから3年。今までは半年に一度しか帰って無かったというのに、今年はもう既に2度目の帰郷。


 長旅に疲れた渡り鳥が羽を休めるため流木の上にとまるように、車を停めて身体を休める。


 何度も思うことだけど、やはりこの町は遠い。しかし、何度も思う。やはりこの町の海は綺麗だ。


 私が友枝に着いたのは、夕方だった。由美子と来た時もだいたいこの時間だったはず。向こうを朝に出てもこの時間なのだ。脚も目も草臥れるはずである。


「っ、はあー。」


 海を眺めながら大きく伸びをしていると、温かい風が海の向こうから吹いて来た。それは目に見えない何かが通り過ぎた様に私の耳を掠めた。思わず由美子の顔が浮かんだ。


 この前の帰省でもここで休憩をとり、2人で海を眺めた。


 私は眠たくて、あまり気にしてもいなかったが、由美子はあの時どんな顔をしていたのか。


「うん、大丈夫。」



 しかし、大丈夫だ。私も由美子も、もう後戻りはしないのだから。


 私は車に戻り、帰路を急いだ。