流れ星に4回目の願いを呟く時。

 川澄市市役所は良い場所だった。まず第一条件として、庁舎から海が見えるということだった。


 海が見えるのに川澄市。そんなキャッチフレーズを市内ではよく見かけることが出来るが、確かに面白い話だろう。


「ああ、先輩。そういえば今日も自転車で来てましたよね。車持ってるのに、どうして春になると自転車通勤なんですか。エコ週間でも無いのに。それに、ニヤニヤして。何か良いことでもあったんですか。」


 青年が自転車に乗る理由。それは簡単なことだ。


「ほら、車だと確かに楽だけど、国道からは海が見えないだろ。でも歩道近くを走れる自転車は海が見放題なんだ。それに、海の匂いって、なんだか癒されるっていうかさ。良いんだよね。まあ、良いことって言うか、ずっと見たかったものが、やっと見れたんだ。」



 総務課での彼の席の窓からは海が見えた。



「先輩、本当に海好きですね。あと、あの変な声の歌手の歌も好きですよね。」



 そう、青年は海が好きだった。後輩はクスクス笑いながら、海を眺める彼を見た。


 青年は海を眺めるとき、いつも哀しい顔を浮かべていた。