「また、思い切ったわね。」


 由美子は驚いた表情を浮かべながら、荷物を纏める私を見ていた。


「まあちょうど良いかなっていうか、どうせ二度手間になりそうですし。それに早い方が踏ん切りもつきやすいと思って。誰かさんと違って、有休も使ったこと無かったですから。」


 1文目と2文目の間にあった確かな、未だ僅かに残る躊躇いから来ていた間に由美子は気付いていながらも、それについて何も言わなかった。


「そうね。別に何も略奪しに行くわけじゃないんだから、気楽に、久しぶりの再会を楽しむ気持ちで行けば良いのよ。」


 そう言いながらまるで自分の家にいるかのような図々しさでキッチンへ向かい、冷蔵庫を開けて缶ジュースを飲む由美子に、私もそれについては何も言わなかった。


「もう、私が一緒に行かなくても大丈夫でしょ。」


「はい。逆にその方が有難いです。」



 流石の由美子もその言葉には少し反発してきた。しかし、その表情には怒りでは無く、悪戯を企んでいる時のものでも無い、頑張れよと、エールを送っているような気がした。