「悔いのないよう、全力プレーで!!絶対全道行くぞー!!」



「「「おーーー!!!」」」



高体連当日。

部長の掛け声とともに、部員皆の士気が高められる。



士気を高められたのは、もちろん俺も。



未菜が倒れた日から俺は何事もなかったかのように、一言も会話をしていない。

今となれば...だいぶ慣れた気がする。

だけど、今はそんなことを考えている場合じゃない。



この前の大会の二の舞にならないように。

集中力を研ぎ澄ます。



「瑠星どう?」



長沢は俺の調子を聞いてきた。

朝の練習で自分の調子は分かる。



調子が良い時は、体やラケットは軽く感じ、ボールはネットを超え思ったところにボールがスムーズに飛んでいく。

逆に調子が悪い時は、体やラケットは重く、ボールはネットに吸い込まれたり、アウトばかり。



今日の俺は...



「大丈夫」



前者だ。



「やっぱり!俺も今日調子良いんだー!」



長沢はニカッと笑って答えた。



長沢の練習を見てて、実際俺もそう感じた。

これなら...



ドローを見る限り全道決めの試合前に強豪校と当たる事はなく、この調子なら全道も行けそうだと思った。
(※ドロー:トーナメント表、対戦相手が載っている紙)