「……いいの?」 戸惑いがちに答えた蒼空は 10年前の幼い彼女なんかじゃなくて 伸びた黒髪は特別いじることもなく 色白い肌には傷も日焼けをしたあともない 大人びた表情にはどこか闇を抱えていて 雨水の証である跡を隠すかのように 真夏のこの時期に手首まで伸びた 長袖を身にまとっている 透き通った声は消えて無くなりそうなほど そんな彼女を今すぐにでも抱きしめたい でも。俺にはそんな資格なんてない 俺は蒼空が好きだ