「待ってよ裕ちゃん
僕も一緒に行く」
春斗が立ち上がると
俺達も無言で立ち上がり
二人のあとを追う
考えすぎなのかもしれないけど
やっぱり心配だ
ここ数日でわかったこと
蒼空は俺たちに何も言わないってこと
どんなに尋ねても
どんなに心配しても
蒼空は俺達にそれ以上は
なにも言ってはくれないんだ
だから余計 心配でならない
「なあ…颯
俺の予感が当たってなければ
いいんだけどさ……」
「…………」
隣で歩く拓弥が
気まずい雰囲気を漂わせる
「蒼空ちゃんさ、誰かに
暴力振るわれてないか?」
「!?」
「いや……本当に俺の勘なんだけど
蒼空ちゃん、怪我してると思うんだ」
拓弥の言うことなら確かかもしれない
こいつの親父は医者で
昔から父親の手伝いで何人もの
患者を診てきたらしい