2人きりのメイクルーム。
本当は慌ててるくせに、彼は平然としてみせる。
生意気よ。もっと素直になったらどうなの?
「お菓子、もらっちゃおうかな」
「え? ぼくは何も持ってませ……」
「いただきます」
わたしは彼にそっと顔を寄せた。
マスカラのまつげを伏せる暇も与えない。
グロスを塗ったばかりの唇にキスをする。
指先で感じた柔らかさを、唇で味わった。
鼻先に、パウダーの甘い香りがした。
「……ごちそうさま。グロスもいい具合になじんだわね」
わたしはにっこり笑ってみせた。
彼が、メイクでは隠せないほど赤くなる。
ほんのりした目元が、アイラインと相まって色っぽい。
いいな、この感じ。ピンク系のメイクで再現できないかな?



