おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―

それなのにトラは、付き合ってもいないただの同僚でルームメイトの私のファッションを見てくれていたわけだ。

ほら、今だって、ずらりと並んだ服を興味深そうに眺めて、「あれの服、おしゃれだな」なんて言っている。


うーん、さすが『王子様』は違うね。

女の子に対する自然な気づかいとか思いやりがあるんだよね。



その店でトラが見つけてくれたカーディガンを買い、雑貨屋に移動した。

そこでもトラは、私の好みど真ん中の柄の毛布を発掘し、「たまにはプレゼント」と言い張ってお金を払ってくれた。


そのお礼として夜ご飯は私が作ることにして、スーパーで買い物をして、マンションに戻った。


今日のメニューは、豚のしょうが焼きに、じゃがいもと玉葱の味噌汁、ほうれん草のお浸し。

相変わらずTHE 和風なラインナップだけど、トラは大いに喜んで食べてくれた。


「あー、うまかったー。ごちそうさん」

「こちらこそー、おいしそうに食べてもらって、作った甲斐がありました」


なんとなくお互い会釈をしあってから、顔を見合わせて噴き出した。


「なんかおかしいね、二人して頭さげちゃって」

「いや、でもほら、夫婦円満の秘訣は感謝の心って言うじゃないか」

「夫婦じゃないけどね」

「ごもっともだ。でも、つまりは他人と暮らすときの秘訣ってことなんじゃね?」

「あー、それは言えてるね」