おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―

おお、と私は感嘆の声をあげ、ぱちぱちと手を叩く。


「すごい、トラ! ちゃんと私の着てる服とか見てくれてたんだ!」

「は? そりゃ一緒に住んでんだから、たとえ見る気なくても目に入ってくるだろ」


トラは当たり前のように言うけど、ぜったい当たり前なんかじゃない。


今まで付き合ってきた元カレたちは、私のファッションについてコメントしてきたことなんて一度もなかった。

ショッピングについてきてくれたときも、お店で私が服を見ていると、いかにも『早く終わってくれ』と思っていそうな顔で、ポケットに手をつっこんだまま暇そうにぼんやりしているだけで。

そんな態度をとられるとこっちも申し訳なくなってきて、結局、ショッピングを途中で切り上げてしまうのだ。


同棲していた元カレも、一緒に住んでいたというのに、私の服の好みなんて全然わかっていなかった。

クリスマスプレゼントに謎の帽子―――ポンポン付きの真っ黄色の毛糸の帽子をもらったときは、度肝を抜かれたものだ。

こんな子供っぽい帽子、いつ使えというんだ! って。


若い頃ならいざ知らず、社会人になってからは、そんなカジュアルな服も小物も身につけたこともなかったのに、なんでこんな……

とは思ったものの、プレゼントをもらったこと自体は嬉しかったから、なんとか無理やり使っていた。