*
「どっち先に行く? 服屋か雑貨屋か」
「布団買ったら荷物なるし、服が先だろ」
「あ、そっか。トラかしこーい!」
「ははは、エリートなめんなよ?」
「自分で言うなー」
お気に入りのブランドのショップに入ると、マネキンたちはもうすっかり秋物に着替えていて、食指を動かされる。
「秋物ってさあ、なんで見ると欲しくなっちゃうんだろ? まだ暑いし着れないって分かってても、買いたくなっちゃうんだよね~」
ベージュのニットに赤いチェックのミニスカートを着たマネキンの前でうっとりと呟くと、トラがくすりと笑った。
「お前それ、夏物出だしたときも言ってたじゃん。どうせ冬にも春にも言うんだろ?」
「う、まあそうだけどさ。でも、秋物がいちばん色とか可愛くない?」
「あー、まあ、分からんでもないな」
トラは店内を見回して頷いた。
「あ、あのカーディガンとか、うさ好きそう」
そう言って指差した先には、ワインレッドできれいなシルエットの、ばっちり私好みのカーディガン。
「うわーかわいい! よく私の好み分かったね」
「そりゃまあ半年も一緒にいればなあ。てか、ふだん着てる服見たらだいたい分かるだろ」



