「あー、飲み物どうしようかなあ。やっぱビール?」


「でもいいけど、この前きたとき、たしか美味しい白ワインがあったよね。どれだったっけ?」


「これじゃない?」


「え、そうだっけ?」


「うそ。適当に指しただけ」


「適当かよ!」


「酔っぱらってたから覚えてないもん」


「私も! あのとき、めっちゃ飲んじゃったもんね」


「あのときだけじゃないけどね。あんたはいつも飲みすぎなのよ」


「それは言わないお約束でしょ~」



あははと笑い合いながら、結局、いつもとおなじようにイタリアビールで乾杯する。



「うーん、仕事終わりの一杯、格別!」



一気に半分ほど飲み干してそう言うと、香苗が呆れたように笑った。



「ほどほどにしときなさいよ、明日も仕事なんでしょ?」


「そうなのー仕事なのー」


「私も明日早いから、今日は9時までしか付き合えないからね」


「あれ、明日休みでしょ? なにか予定あるの?」


「うん、彼と式場探しにね」


「わっ、そうなんだ! それは大事だ。今日はさっさと飲んで食べて、さっさと帰ろう」



そう言ってサラダを勢いよく食べ始めた私を、香苗が頬杖をついてじっと見つめてくる。



「………どうしたの? 食べないの?」


「うん………あのさあ、真子」


「ん?」



香苗がいつになく真面目なトーンで言うので、私はサラダをつついていたフォークをおろし、聞く体勢に入った。