一人なのをいいことに大声で泣いていると、その合間に、どこかで着信音が鳴っているのが聞こえた。


私はしゃくりあげながら立ち上がり、音の聞こえるほうへと歩いた。


なぜか洗面所に置いたままになっていた自分のスマホが鳴り響いているのを発見して、手にとる。


電話だった。


相手も確かめずに通話ボタンを押す。



「もしもし………」



嗚咽まじりの声でかろうじてそう言うと、電話の向こうで相手が息をのむのがわかった。



『え? ちょっと、どうしたのよ? 真子、泣いてるの?』



その声は、親友の香苗だった。



『真子? 大丈夫?』



心配そうな声を聞くと、さらに涙がこみあげてくる。


ひっくひっくとしゃくりあげながら、なんとか「大丈夫~」と答えた。



『どう聞いても大丈夫じゃないんだけど!』


「うう………」


『もう、なんなのよ!
ご飯でも誘おうと思って電話したのに、どういうこと?』


「ごめん………」


『いや、謝ることじゃないけど』



香苗は呆れたように息を吐いて、


『しょうがないわね』


と言った。



『………なにかあったんでしょ?

話、聞いてあげるから。

今から行くから、場所、教えて?』