おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―

そのときふと、テーブルの上に置かれているものに目がいった。



見慣れない、薄い黄緑色の紙。


トラの忘れものだろうか、と私はソファから身を起こす。



トラは几帳面できれい好きなので、テーブルの上に物を出しっぱなしにするようなことはなかった。


引っ越しで焦っていたのかな、と思う。



無意識に手に取り、確かめる。




「………えっ」



思わず、小さくさけんでしまった。



そこには、トラの端整な字が並んでいたのだ。



慌てて顔を近づけ、目を通す。




『うさへ

今までありがとう


うさとのルームシェアは

すごく楽しかった


もう二度と

変な男に引っかかるなよ』




私はぽかんとして何度も読み直す。



まさか、置き手紙なんて古風なことをするなんて、思ってもみなかった。



だから、メッセージが残されていたことがびっくりで、嬉しくて、興奮してしまう。



でも、最後の一言は、どういう意味だろう。



変な男って………前の彼氏のことだろうか。


そういえば、彼に浮気されて、同棲していたアパートから追い出されたと、トラには話したんだった。




「………どんな捨てゼリフよ」



私は思わずくすりと笑った。