おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―

「………もう、やだ」



深い深いため息を吐き出した。



半年前までは、トラはただの同期入社の同僚で。


部署もちがうし、ほとんど接点もなくて。


雲の上の存在みたいな完璧人間だと思っていた。



それが、神様の気まぐれなのか、運命のいたずらなのか、ルームシェアをすることになって。



実はちょっと腹黒で、外面が良くて、でもやっぱり優しい素顔のトラを知るようになって………たぶん、私はもうずっと前から、トラのことを好きになっていた。


沈黙でさえ居心地がいいと思わせてくれるトラのことを。



でも、私はなにも行動しなかった。


行動なんか起こさなくても、一緒にいられるから、それでいいと思っていた。



なぜだか、そんな楽しい日々がずっとずっと続いていくような気がしていたから。



馬鹿だな、私。


もう少し早く自分の気持ちに気づいて、なにかひとつでもいいから行動していたら、なにかが変わっていたかもしれないのに。



でも、後悔しても、もう遅い。


トラはいなくなってしまった。



トラのものが、トラの気配がなくなっただけで、不気味なほどに静かで広く感じるリビング。


その真ん中で、私はひたすら孤独と後悔に耐える。