おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―

「さあ、飲むぞー」

「かんぱーい!」


二人がけのソファに並んで腰かけ、テレビの深夜番組を見ながら、あれこれとコメントをしたりしつつ、ゆったりとお酒を飲む。


「この芸人、なかなかシュールで面白いね」

「でも一般受けはしないだろうから、深夜の枠からは出られないかもね」


「あ。ねえねえ、この映画おもしろそうじゃない?」

「おお、そうだな。今度観に行くか?」

「行こう行こう」


―――トラとまったり過ごすこの時間が、私は大好きだ。



「さて、そろそろ寝るか」


私が大きなあくびをすると、トラが微笑んでそう言った。


「そだね。片付けは明日でいっか」

「いい、いい。俺ももう眠い」


私とトラは洗面所に向かい、並んで歯を磨いた。


「ふああ、眠い。もう無理。私さきに寝るね」

「こら、うさ。コンタクトはずしたか?」

「めんどくさいから明日……」

「だめ! ちゃんとしなさい」

「はあい………」


トラはうちのお母さんよりも厳しいかもしれない。


「じゃ、おやすみ」

「おう、おやすみ」


私たちはそう言い合って、それぞれの寝室に入った。


ばたんとベッドに倒れこんで耳を澄ますと、トラの部屋からも似たような音が聞こえてくる。

それから、しんと静まり返った。


私はくくくと笑う。

意味はないけど、とにかく楽しいのだ。