おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―


でも、たぶん、本当はちがった。



トラならきっと、少しくらいだらけた格好をしていたって、軽蔑したり嫌ったりしないって、わかっていたから。


トラはそういうやつだって、一緒に暮らしていくうちにわかったから。



だから私は、トラの前で、自然体のままでいられた。



でも、きっと五十鈴さんは、私みたいにこんな情けない姿をトラに見せたりはしないんだろうな。


そういうところが、私と五十鈴さんの大きな違いなんだろう。



そう思って、悲しくなった。



私はうつむいて鏡のなかの間抜けな自分を視界から追いやる。


すると、洗面台に置いてあった、コンタクトレンズの保存ケースと保存液が目に入った。


空っぽの保存ケース。



「―――あ」



そういえば、昨日は色々あって、考えごとばかりしていたから、コンタクトレンズをつけたままで寝てしまった。



しまった、ばれたらトラに怒られちゃう、と反射的に思ってしまってから、私は苦い笑みをもらした。



もうばれることはない。


もう怒られることもない。



―――そもそも、もう、会うことさえないのかもしれない。




目頭があつくなった。


私はぎゅっと目を閉じてこらえてから、洗面所の引き戸をゆっくりと閉める。