おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―

「トラ、トラ! おはよう!」



ごんごんとたたく。


でも、中から返事はない。



心臓はばくばくと弾けそうに激しく胸をうっている。



「トラ、開けるよ!」



私はノックをやめ、ドアをひらいた。




「トラ………」



呆然とつぶやく。



トラの部屋は、からっぽだった。



いつも几帳面に整えられていたベッドも、

たくさんの資料で溢れていたパソコンデスクも、

数えきれないほどの本が並んでた本棚も、

出窓に飾られていたトラのお気に入りの観葉植物も。



なにひとつ無くなっていた。



フローリングの床だけが広がっている。


こんなに広かったっけ、と思った。



私はゆっくりとドアを閉めて、リビングに戻る。



よく見てみると、トラのものが全てきれいさっぱり消えているのがわかった。



きびすを返して廊下を歩き、洗面所をのぞく。



やけに隙間の目立つ洗面台。


一本だけになった歯ブラシ。


シェーバーもワックスも無くなっている。



私の化粧水とクリームが、所在なさげにぽつんと立っていた。