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その朝、瞼に当たる光の眩しさで、私はぼんやりと目を覚ました。
いつもより窓の外が明るくて、車のエンジン音が騒がしいことに気がつき、はっとする。
あわててスマホの時刻表示を確認して、あ、今日は休みだった、と安堵した。
二度寝しようと枕に顔をうずめてから、私はまた、はっと目を開けた。
次の瞬間には、転げ落ちるようにしてベッドを降り、叩くようにドアを開け、寝室を飛び出し、リビングに飛び込んだ。
「―――トラ! おはよう!」
今日はトラがこの部屋を出ていく日だ。
少しでも長くトラと一緒にいたいし、一秒でも長く、一センチでも近くで、トラの顔を見ていたい。
「…………え?」
静かなリビング。
しいんと静まり返って、なんの音もしない。
テレビはついていない。
人の気配もない、静かな部屋。
「………トラ?」
私はどくどくとうるさい心臓の音を無視して、リビングを抜け、トラの寝室の前に立った。
「トラ、まだ寝てるの?
もう朝だよ」
こん、とノックをする。
反応がないので、もう一度。
こん、こん、と叩く。
でも、なかには衣擦れの音すらしない。
私はこぶしをかたく握りしめ、ごんっとドアをたたいた。



