おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―

次の瞬間。




「え………っ」



私の身体は、トラの腕に包まれていた。



「トラ………?」



どくんと心臓が跳ねる。



全身の血管が、痛いくらいに脈打っていた。



耳の中に自分の鼓動の音が反響して、ぼんやりしてしまうくらい。



「うさ………ごめんな」



トラのかすれた声が、私の耳のすぐ近くで、そっと囁きかけてくる。



「ごめん」



繰り返される言葉。



でも、意味が分からない。


トラがなにを言いたいのか。



「………トラ? なに? どうして………」



「うん」



トラは何度もうん、うん、と繰り返した。


それ以上、なにも言わない。



どうすればいいのか分からず、私は身体を硬くしたままで抱きしめられているしかない。



トラの鼓動、トラの体温。


それを意識すると、頭がぼんやりと白くなる。