おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―

「………うさ?」



トラがなにかを察したのか、身をかがめて顔を覗きこんでくる。



私はさっと顔を背けて、軽く首を左右に振り、なんでもない、というジェスチャーをした。



「どうした? 大丈夫か?」



トラは私の意図など分かってくれず、さらに覗きこもうとしてくる。


私は顔全体を手で覆い、うつむいた。



トラがドライヤーのスイッチを切る。


部屋に静寂が戻ってきた。



私の唇からもれる嗚咽が隠せなくなってしまう。



「うさ………泣いてるのか」



トラが低く呟いた。



泣いてない、と答えようとしたけど、声が震えて掠れてしまった。



「うさ」



トラの声が近づいてくる。


吐息が耳にかかったような気がして、私は肩をすくめて、顔をおおっていた手を思わず外した。



トラの顔が、まぢかにある。



そこには、いつもの微笑みも、からかうような色も浮かんでいなくて。



見たことがないくらい、真剣な表情。



「………トラ?」



思わずつぶやくと、トラがふっと小さく息を洩らした。