おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―

「………さっすが、王子様。最後まで優しいねえ。

じゃ、お言葉に甘えて、お風呂、先に頂きます」



私は一気にそう言って、トラの顔を見ないようにしながら洗面所へ走った。



勢いよく服を脱ぎ捨て、風呂場に飛び込む。


蛇口を全開にして、シャワーを全身に浴びる。


強すぎるシャワーの細い矢が、一気に肌を刺した。



でも、その痛みが心地よかった。


心の痛みを忘れさせてくれるから。



………ちがう。


忘れることなんかできない。



トラともう一緒にいられない。


この気ままで楽しかったルームシェア生活は、もう終わり。



そのことがじくじくと私の心を痛めつけ続けている。



私はいつもより何倍も強くスポンジで身体をこすり、顔をごしごしと洗った。




「………よし」



最後に鏡を見ながら、両頬をぱしぱしと叩く。


なんとか笑顔を作った。




今日で最後なんだから、笑顔で過ごさなきゃ。


トラの記憶に、笑顔の私を刻みつけてもらえるように。