おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―

ごめん、ともう一度あやまりながら、心のどこかで、ほっとしている自分を感じてもいた。


五十鈴さんのために引っ越したり会社を辞めたりするわけじゃないんだ、と。


そう思ってしまった自分に嫌気がさす。



トラのお父さんの具合が悪いと聞いて、ほっとするなんて。


―――最低だ、私。



「………ごめんね、仕事中、邪魔しちゃって。行ってらっしゃい」



私はトラの背中を押して車にのせ、手を振る。



「ああ、行ってくる。なんかごめんな、いろいろ驚かせて」



「事情が事情なんだから、気にしないで。

ほら、早く行かなきゃ。気を付けてね」



「うん、ありがとう」



トラはエンジンをかけ、軽く手を振って駐車場を出ていった。




走り去っていく車の後ろ姿を見つめながら、ばいばい、と心のなかで言う。



諦めるって決めたんだから。


さよならする。



独占欲や嫉妬にまみれた醜い自分にも、さよならしなきゃ。