おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―

「ぎりぎりまで粘ってみたんだけど、やっぱり無理だった」


「………どういうこと?」


「………」



トラは言葉を探すようにしばらく目を泳がせてから、ふうっと息を吐いた。



「これは、同僚にはまだ誰にも言ってないんだけどさ」



重々しい声で前置きをする。


真剣な話なんだと分かって、私は少し緊張した。



「親父がさ、体調くずしちゃって」



思わぬ内容に、私は言葉を失う。



「え………大丈夫なの? 会社に来てて。

お見舞い行かなくていいの?」



「いや、そんな今すぐどうこうってわけじゃないんだ」



「ほんとに?」



「うん、心配させてごめん」



トラが目を細めて、安心させるように言う。



「たださ、親父が調子悪いから、家の仕事、手伝わないといけなくなって。

だから、みんなには急で申し訳ないんだけど、急遽うちに戻ることになったんだ」



「そうだったんだ。なんか、ごめん。責めるような言い方して」



「気にすんな、俺も言ってなかったから悪かったし」