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翌日、銀行に用事があったので、私は少し遅れて会社に行った。
事務所に入った瞬間、オフィスの雰囲気がいつもと違うのに気がついた。
みんな、落ち着かない表情で、ざわざわと周りと話しているのだ。
「おはようございます。………なんか皆さんざわついてますね。なにかあったんですか?」
バッグを置きながら、隣の赤木さんに訊ねる。
すると、赤木さんが意味深な顔つきで視線をめぐらせてから、小声で「実はね………」と言い、こそこそ話をするように顔をちかづけてきた。
そのとき、向こうから「宇佐美さん! ちょっと来て!」と声が聞こえた。
顔を上げると、同期の吉岡さんが手招きをしている。
赤木さんが苦笑して、「あっちから聞いたほうがいいかも」と言う。
よく訳が分からないまま、赤木さんに促されるままに吉岡さんのほうに行く。
「おはよ。どうしたの?」
「どうしたもこうしたも、大ニュース! て言うか、大事件!」
「え? なに、大事件? どういうこと?」
「実はね、日比野くんがね………」



