おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―

私は爆笑しながら力いっぱいトラの背中を叩いた。


「いって! おまえ、ほんとガサツだな!」

「えー、痛かった?」

「痛えよ! ってか店の中でやるな、みんなびっくりしちゃうから!」


トラが私の首に腕を回してぎゅっと締めてくる。

私は「いたたた!」と叫んだ。


………迷惑な酔っぱらいだと思うけど、楽しいんだから仕方がない。


レジに向かう途中でスイーツコーナーを見つけて、私は思わず足をとめた。

ふわとろプリンが私を誘惑しているのだ。


「なんで、お酒のむと甘いもの食べたくなるのかねえ」


私はぶつぶつ言いながらもプリンを手にとった。

それを見て、トラが思いっきり顔をしかめる。


「うさ………お前、またそんなもん買って。夜中にスイーツとか、メタボになっても知らねえぞ」

「なによー、トラだってちゃっかりカップラーメン買ってるじゃん」

「俺はいいんだよ。あいにく、食っても太らない体質なんでね」

「わー、むかつくー! 女の敵!」

「ひがむな、ひがむな」


とか言いつつも、トラはプリンをカゴに入れてくれた。


そもそも、こんな時間からスナック菓子でお酒を飲もうとしている時点で、どっちにしろ不健康きわまりないのだ。

スイーツの一つや二つ、大差ないでしょ。