生神さまっ!

「で、一応嘘じゃないかもって思って付き人達に聞いたら、やっぱり用無いっつってたしさ。

それで秋奈の部屋に戻ろうと思ったら…春乃が急に部屋に来て、言ったんだよ。


『私の付き人達が、夕食の準備ができたから行け、だって!

けど私は用事があるから後で行くね!』…って」




最悪のパターンの色が、頭の中でどんどん濃くなっていく。



春乃…まさか…




「…2人共、春乃の部屋に行くよ」



「う、うん!」


「おう…?」




襖を勢いよく開けた冬斗の先には、目を丸くする女性達が。



ごめんなさい、緊急事態なんです!!




廊下を小走りで進み、春乃の部屋に向かう。



お願い…春乃、いて……!




「っ、春乃の付き人だよな?」



「はい…そうですが…」



春乃の部屋の前にいた2人の女性。



不思議そうな顔をして私達を見る。




「春乃はどこにいる!?」



「え!えっと…私共は、春乃様が『部屋ににしばらくいるから入らないで』と言われたので…

って、あの、夏樹様!?」



何かに気付いた様子の夏樹が、襖をガチャガチャとして開こうとする。




「…!部屋に、簡単に開かないよう術がかけてあるぞ!



……"解除"!!」




夏樹の声が消えると同時に、襖がバアアアン!と勢いよく開く。



部屋に春乃は……いない。




「…聞いてたんだ…」



最悪のパターンが…現実だった。