生神さまっ!

冬斗と元彰の間にも、なにかあったのだろうか。

元彰は冬斗の”監視役”だった。

冬斗の行動は、ほとんど理解していてもおかしくはない。


「…黒姫。別にみんながいても、お前の”契約”には勝てないだろ。

始めてくれ」


「…本当に、いいのか」

「…ああ。

…楽しみすぎた。もう、大丈夫」


黒姫様が手を挙げたのを見て、私は直感的に彼らがすることを悟った。


「冬斗!!!!!!」


走りだすけど、どん!と壁に当たる。

よく見ると、私たちとかれらの間には薄い紫色の壁ができていた。


一瞬こちらに目を向けた黒姫様だったが、すぐに冬斗のほうをむいた。

そして何かを唱えだしているのがわかった。


冬斗は目を閉じ、”それ”を受け入れているのがわかった。



「おい冬斗、お前!!おい!!」

「ねえ、これどうにかしてよ!ねえ!?」

「…馬鹿な、人ですね」



何度殴っても、壁はびくともしなかった。

手が痛い。痛い。血が出ているのがわかった。
元彰にその手を止められるまで、私は泣き続けた。


「ふゆと、ふゆと、ねえお願い、ふゆと…!!」


すう…と、冬斗の胸のあたりから、きれいな青色の光が出てきた。

黒姫様はそれをいとおしそうに見つめた。そしてその青い光を、裾から取り出した灰色の水晶玉のようなものにそっと入れた。

…そして冬斗は、倒れた。


「あ…あ、あ…

あああああああああああああ!!!!!!!!」



声の限り叫んだ。
夏樹も何か叫んで、壁を強く殴っていた。
春乃は座り込み、泣いていた。
元彰は私の手を、震えながら止めてくれた。


…冬斗が、消えた。

この世界から、冬斗が。