生神さまっ!

「…冬斗を、本当の神にしましょう」


「でもそれでは、スサノオが…!」


「いいのです、春乃。
統治する者において最も大切なことを知っていますか。

それは民意を尊重すること。
独裁的な統治は、自身も国をも亡ぼす。人間界で証明された真理です」


アマテラス様の涙は、気が付けば消えていた。
私たちはどことなく沈んだ気分のままでいた。


「…実は、黒姫が脱走したというのはあなたたちが来る少し前に知らせを受けていました。その時、自分で覚悟を決めていました。

もう、大丈夫です」


私たちは、うなずくしかなかった。
アマテラス様に悲しい決断をさせたのは私たちだと、知っていたから。


「…アマテラス様。冬斗は、代償を与える代わりに願いを黒姫さまにかなえてもらっていました。

…その願いが何かを、知っていますか」


「…ええ、もちろんです。
本当は、彼がいないところで話してはいけないのでしょうけどね。
話さなければ、なりませんね」

アマテラス様がふうっと一息ついた。





「”冬夜が生きていたという事実を、消してくれ”…それが、彼の願いです」




私たちはその言葉に、文字通り”固まった”。
冬夜が存在していたという事実を、消す…?



「そしてもう一つ、あなたたちに話さなければいけないことがあります」



私たちのことをしっかりと見据えて、アマテラス様は告げた。



「あなたたちは、季節を取り戻したら…人間界に戻ることができます」