天照大御神。
太陽の神であり、最高神。
彼女という存在なしに、この天界はおろか、人間界も成り立つことはない。

そんな彼女が住むのは高天原の中でもひときわ大きく広い敷地にある、大邸宅。
塀の外からしか見たことはなかった大邸宅と違い、間近に見るその邸宅は壮観だった。


ほとんどが平屋で、一部一部二階建てになっているところもある。敷地はどれぐらいおおきいの、という私の問いに夏樹が「東京ドーム何個分、で表せるぐらい」と言って怖くなってしまったので、もう何も言いません。

アポなしに最高神の大邸宅に訪れるなんて本当はあっていいことではないのだが、ある人たちが急遽支援をくれたのだ。


「春神様、夏神様、秋神様から季節の件で急用がある、という連絡を先ほど受けました。アマテラス様も少ない時間を空けてくださいましたので、お急ぎください」


こうして、ここ天界でも相当地位の高い3人の季節神のおかげで私たちは突然ながらここへ訪れることができたのだった。



案内されるがまま、とんでもなく広く豪華な屋敷に入り、私たちはアマテラス様が待つとされる広間に案内された。

恭しく使用人たちが静かに開いたふすまの先。

私たちが普段集まる部屋よりもさらに広い広間の奥の奥。
そこには、いつも通り微笑みを絶やさないアマテラス様が座っていた。