「なあ秋奈。もしかしてだけど、冬斗が今消えた理由は…」



「…分からない。でも、最悪…」




「冬斗様は、自分という人格…もしくは冬夜というもう一人の人格、どちらかを捧げようとしているということ、ですか」




元彰の言葉に、春乃がごくりと息をのむ音が聞こえた。

私に、そしてみんなにバレたということ。
冬斗は気づいた。これ以上、伸ばすわけにはいかないことを。


決断を迫られた冬斗は、黒姫様と共に行き、アマテラス様の管轄外で人格を捧げることを実行しようとしている…



「…冬斗が逃げたってことはねえのか」


「冬斗様に限ってそれはないでしょう。

私にも分かりませんが、冬斗様はなぜか冬夜という人格を捧げることを拒み続けていました。

…そして結局どちらを捧げることを決めたのかも、分かりません」




沈黙が訪れる。

私たちが今すべきことは…?
冬斗が冬夜という人格を捧げることをかたくなに拒んだ理由さえわかれば…何かのきっかけにもなるかもしれないのに。


…理由。

あの時の、冬斗の願い…?



冬斗が黒姫様にそっと耳打ちしていた、願いさえわかれば…。




「…アマテラス様だ」



「…秋奈…」



「…アマテラス様のところに、行くしかない」